何者は、就職活動をしている大学生たちの話です。

就職活動がまだこれからだと言う人には是非おすすめしたい一冊です。

就職活動を終えた人は、過去を振り返ってみて、すごく共感できる部分がたくさんある本です。

男女5人の若者が「就活対策本部」という名のアパートの一室に集まるようになります。

就職活動ではなくても、今まで同級生というのは色々なことで切磋琢磨しながら共に成長し、時には競い合います。

試験の点数や、通知表、体育なら誰が一番早く走れるかなど、周りの友達と自分というものを常に意識するものです。

自分は、今どの位置にいるのか。

高校受験や大学受験では、一抜けという感じで推薦入学を決めたりする友達やクラスメイトがいると、その子の合格を心から祝えないという複雑な気持ちになったものです。

大学なら、私立の受験もあるし、国公立なら第一希望、第二希望と日程があるので、やはり早くゴールを決めた友達が羨ましく感じます。

言ってみれば、幼稚園や小学生の頃からスタートした同級生との戦い。

就職活動というのは、戦いという意味ではまさに最終決戦とも言えるわけです。

まだ幼い頃は、競争や戦いに勝ったら誇らしげな顔もできたかも知れませんし、負けたら友達の前でも悔し涙を流せたでしょう。

何者に出てくる主人公である二宮拓人は、簡単に言えばポーカーフェイスが一番得意なキャラクターです。

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戦いに勝ったとしても、自分が勝ったんだということも表に出さないだろうし、負けても悔しいという感情は表さないタイプでしょう。

この何者は、インターネットやスマートフォンなどが普及した現代社会を浮き彫りにしたストーリーでもあります。

昔は考えられなかったけれども、今は自分の気持ち、自分の生活をSNSで表現できます。

でも、名前を明かさなくてもいいという意味ではとても気楽に簡単に自己表現をできる場です。

SNSを通じてリアルタイムでリアルな自分を表現し、それを発信することで、気持ちの整理をつけます。

気持ちの整理をしながら、同時に自分をより良く見せようと背伸びをしてしまう部分もあります。

例えば、そんなにお金持ちじゃないんだけど、一度ホテルのレストランで食事した写真をSNSに投稿すると自分がお金持ちになったかのように感じる。

もっと言えば、普通の主婦がSNSに20歳の女性として投稿してしまうことも可能で、そうなると自分自信が20歳の若い子になった気分にもなれます。

SNSを活用しながら、自分の気持ちを整理するつもりでも、こんな風に捻じ曲がっていくことも多々あります。

主人公たちも、現代の若者ですので就職活動をしながら、SNSを利用します。

主人公の二宮拓人には、SNSを利用して自分の気持ちを整理しながら、現代社会に立ち向かってほしい。

そう思いながら読み進めるのですが、やはりインターネット社会ならではの怖さ、ハラハラさせられる気持ちを味わうことになります。

先ほどの、20歳の女性を演じてるけど実は主婦みたいな人間だってネット社会にはたくさん存在する中で、やはりネット上では自分を良く見せたい、カッコつけたいと思う気持ちが主人公にもあるのです。

主人公は冷静に世の中を見ているし、一緒に就職活動する仲間たちのことも近くにいながらも遠くから観察しています。

必死になって就職活動もしたくない、でも仲間たちから置いていかれたくもない。

そんな複雑な気持ちを抱えながら、仲間たちの動きを常にチェックし、動向を見守っている主人公。

SNSに投稿することで、自分の存在が認められているとか、大きい人間になった気がすると感じるのは分かる気がします。

観察力の高い主人公が、どこまで自分自身を観察できるのかという部分がこの本の本題です。

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