蓮と楓の兄妹

蓮と楓の兄妹はごく普通の家庭で暮らしていました。

しかし、ある時父が家を出て行ってしまい、続いて母が交通事故に遭って死亡してしまったため、2人は取り残されることになりました。

そこで血のつながっていない継父が親代わりとなりますが、彼は仕事せずに部屋に閉じこもったまま過ごし、蓮と楓に暴力を振っていました。

ある時、楓は継父にされたことを蓮に告白します。これに怒りを募らせた蓮は継父を殺す計画を考えます。

ある日、蓮は湯沸かし器のスイッチをわざと入れたまま仕事へと出かけました。

これによって湯沸かし器が不完全燃焼を起こし、継父を一酸化中毒で殺せるのではないかと考えたのです。外は台風の影響か、激しい雨が降り続いていました。

辰也と圭介の兄弟

辰也と圭介の兄弟もまたごく普通の家庭で暮らしていました。

ところが母が海で亡くなり、父は病気で死亡してしまいます。

親代わりとなった継母にわざと嫌われようと辰也は万引きを繰り返すようになりました。

辰也は継母が母を殺したと思っていました。

一方で圭介は自分のせいで母が死んだと思っていました。

同じように母の死を悲しみながらも兄と弟は別の悩みを抱えていました。

ある台風の夜、辰也と圭介は蓮と楓の兄妹を見かけます。

兄妹は何やら赤い布を落としていきました。辰也はその赤い布を持ち帰っていきました。

今朝、家に置いてあったあるノートを圭介は見つけます。そこには辰也の字で脅迫状のような内容が書かれていました。

圭介は兄が変わってしまったことを悲しんでいました。

蓮と楓、辰也と圭介、4人が出会うことで物語はどう動きだしていくのでしょうか。

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龍神の雨の見どころ

この物語は2組の「きょうだい」が苦しい環境にあるところから話が展開していきます。

まず蓮が継父を殺そうとする計画がどういった結果になるのか、辰也と圭介の母が死んだのはなぜかというところが最初の注目ポイントと言えるでしょう。

どちらの「きょうだい」も親代わりとなる人物に心を開かないという点も共通しています。

ただし、蓮と楓の親代わりとなる継父は彼らに暴力をふるうとんでもない人物であり、辰也と圭介は継母に疑いの目を持っているということがあるので理由はそれぞれ異なっています。

この物語には蓮たちの両親と辰也たちの両親、つまり4人の両親が登場しますが事件性がなく亡くなったのは辰也たちの父だけです。

他の3人がいなくなった原因には事件性があるかもしれません。どうしていなくなったのか、この真相は非常に気になるところです。

そして圭介はどうして自分が母を殺してしまったと思っているのかも物語の重要な鍵を握っています。

蓮、楓、辰也、圭介の4人はいずれも社会に対して希望を持っていません。

そんな彼らが出会うことでどんな行動をするようになるのか、悲しいながらもどんどん読み進めてしまう小説です。

4人は同じような気持ちを持っているようで、どこかそれぞれ違う感情を抱いているということもこの物語を読む上でのポイントになってきます。

蓮と楓、それから辰也と圭介、それぞれ全く違う家庭で育ちました。

しかし、敢えてこうやって出会うということは何らかの関係性があるのかもしれません。

作者の道尾秀介さんは意外性のある展開に定評のある方なので、衝撃の真相があるのではと期待してしまいます。

実際、最後の最後まで全く気が抜けない展開が続いていきます。決して明るい話ではないので辛さもありますが、なぜか読む手が止まらない不思議な小説となっています。

彼らは出会うべくして出会ったと感じる方が多いのではないでしょうか。4人の運命と、彼らの両親の死の真相をその目でご確認ください。

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