ソロモンの犬のあらすじ

秋内、京也、ひろ子、智佳という4人の大学生と10歳の陽介は仲良く日々を過ごしていました。

しかし、彼らの平穏な日常を壊してしまう事件が起こります。陽介は家でオービーという犬を飼っており、ある時散歩中にオービーが走り出すと陽介はそれに引きずられるように道路に飛び出してしましました。

不幸なことにそのタイミングでトラックが通ったことで陽介は引かれて亡くなってしまいます。

客観的に見れば不幸な事故でしたが、秋内は何らかの事件であった可能性があると考えて調べ始めます。

オービーが走り出した様子に違和感があったというのです。

また、現場では秋内の友人である京也が不可解な行動を取っていました。

秋内は内心では京也のことを疑っていました。しかし、秋内は動物の生態に詳しいわけではなく、オービーが走り出した原因について解明するには至りません。

そこで秋内は間宮助教授に相談を持ち掛けます。

間宮助教授は動物生態学の専門家であるため、彼に相談することで事件の真相を解き明かせると考えていたのです。

オービーは何故突如として暴走ともいえる行動をとったのか、陽介の死は事故だったのか、彼らは議論を重ね真実を見つけ出そうとしていました。そして、京也の行動の真意とは―――

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ソロモンの犬の見どころ

ヘビーな内容が多い道尾秀介の作品にあって比較的に読みやすい展開となっている作品です。

初めて道尾作品を読むという方にもお勧め出来ます。

オービーの暴走による陽介の死亡という、この手の小説としては珍しい死因になっています。

犬が急に走り出すこと自体は珍しいことではないため、そこに人間の作為があったかどうかというのは難しい問題です。

仮に何者かがオービーが急に暴れるように仕組んでいたとしても、それを証明するのは容易ではありません。

その謎の解明に動くのが秋内たちと間宮助教授です。

秋内は動物について詳しい人物ではないため、どれだけ京也を怪しく思ったとしても全て仮説の域を出ません。

しかし、間宮助教授は動物の生態学に精通しているため、彼が納得するオービーの暴走理由を見つけ出せれば、この事故が事件であることを示せる可能性もあります。

この事故なのか、事件なのかという点が最後の最後まで明かされず、そんな中で様々な人間ドラマが展開されるのが見どころです。

最終的な真相にも驚きがありますが、そこに至るまでの展開にも注目の内容となっています。

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恋愛小説としての展開

この作品にはミステリー要素だけでなく恋愛要素も含まれています。

秋内は仲間内の1人である智佳に恋心を抱いています。事故の真相を解き明かしていく中でもそういった恋愛描写はしっかりとなされていきます。

智佳からの言葉を後々から反芻したりする様子は恋愛中の男子としてリアリティがあります。

事件自体はそれほど複雑なものでないため、その部分以外にもフォーカスが当たることは展開として非常に重要性を持っています。

また、秋内が相談を持ち掛ける間宮助教授がかなり変わった人物なのもポイントです。

もちろん人が亡くなっているのでシリアスなストーリーであることには間違いがありませんが、こういったコミカルな登場人物がいることは読み進める意欲へと繋がります。

ただただ真相が明らかになっていくだけでも興味深い内容ですが、キャラクターが作品に奥行きを与えています。

道尾秀介のミステリー作品にはコミカルな人物が登場することがそれほど多くないので間宮助教授はある意味特殊な存在ともなっています。

個性豊かな登場人物たちが真相に迫る中でどういった関係性になっていくのかにも注目して読みたい作品といえます。

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