「光媒の花」は6つの作品からなる短編集です。

隠れ鬼、虫送り、冬の蝶、春の蝶、風媒花、遠い光の6つで構成されており、いずれも道尾秀介の世界観が発揮されている名作です。

隠れ鬼のあらすじ

印鑑屋の主人は認知症を患っている老母と暮らしていました。この男は30年前に父親を亡くしていました。

ある日、老母は笹の花の絵を描きます。これを見た主人は30年前のことを母が知っているのではないかと驚きます。

果たして彼の知られざる過去とは―――

隠れ鬼の見どころ

意味深なタイトルと印鑑屋の主人の衝撃の過去が結びついていくストーリーです。

30年に1度花を咲かすという笹の花が30年前の出来事を思い起こさせます。

虫送りのあらすじ

両親が共稼ぎの小4と小2の兄妹は学校で仲間外れにされていました。

2人が河原で虫取りを行っていたところ、あるホームレスと出会います。

ホームレスは兄が目を離した間委に小2の妹にいたずらをしたため、兄妹は帰りに橋の上から男のテントに向けてコンクリート片を投げ落とすのでした。

その日のニュースを観ていると―――

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虫送りの見どころ

ホームレスの許しがたい行為に対する兄妹の反撃、その結果は一体どうなるのでしょうか。

幼い2人が背負うには重すぎる業がそこにはありました。

妹を必死に守ろうとする兄の姿が胸を打ちます。

冬の蝶のあらすじ

かつて昆虫学者になりたいと考えていた男も今はホームレスとなっていました。

ホームレスとなってからも昆虫への興味は尽きず、採集に出かけたところ同級生のサチと出会います。

男とサチはどんどん親しくなっていきますが、サチには悲しい秘密がありました。

男はその驚きからか不用意な行動を起こしてしまうのです。

冬の蝶の見どころ

ホームレスとなってしまった男と、暗い影を背負ったサチ、2人は意気投合しますがサチの秘密を知った時に男はどう考えるのでしょうか。

悲しくも切ない物語であり、男の行動がある事件を引き起こすことになります。

絶望の中で新しい絶望を生んでしまう悲しさが鋭く描かれる物語です。

春の蝶のあらすじ

ある老人の部屋に警官がやってきます。

この老人の部屋では離婚した娘が子どもを連れてきて一緒に住んでおり、その中でとある事件が発生していました。

幼い孫娘は心因性の難聴を患っていました。果たして幼い少女が抱える秘密と葛藤とは―――

春の蝶の見どころ

幼い少女の心因性の難聴という、この時点で何か重大な過去があることは予測できます。

幼い少女が背負うあまりにも大きな葛藤と秘密に胸が痛みます。

非常に重く、切ないストーリーです。

「蝶」というところが「冬の蝶」と共通しています。

描いている物語は全く別物ですが、悲しみを背負う女性が登場するという共通点があります。

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風媒花のあらすじ

小学校教師の姉とトラック運転手の弟の物語です。

姉は母親と仲が良かったですが、弟は母親と関係が上手くいっていませんでした。

ある日、姉は倒れ入院することになりました。

重症ではないとされた姉ですが、入院が長引いていきます。

風媒花の見どころ

母と弟を気遣う姉が大きな見どころです。

軽症だったはずの姉の入院が延びていくところに底知れぬ不安感があります。

遠い光のあらすじ

主人公はある学校に勤める教師です。

この人物が受け持つクラスにはある少女がいて、彼女が子猫に石を投げるという問題が発生します。

担任教師として指導しようと家に行きましたが、彼女の複雑な家庭事情を聴かされることとなります。

果たしてこの教師はどう感じるのでしょうか。

遠い光の見どころ

主人公である新任教師目線でストーリーが進んでいきます。

この短編集には重い過去を背負った少女がよく出ていますが、この話に登場する彼女もその点は同様です。

教師の心境の変化が大きな見どころとなっています。

「遠い光」というタイトルに深いものを感じます。

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